まだ写真という技術が珍しかった昔、市井の庶民が自分の姿を画像で残す機会などめったにないことだったからなのでしょう、博物館や資料館でみる古い肖像写真や記念写真では、みな正装して一世一代の面持ちをしています。
ましてさらに昔、写真が発明される以前の時代であれば、画家に依頼して自分の肖像画を手に入れることなど、それこそ王様や貴族か戦国武将ででもなければかなわぬことだったに違いありません。
その点現代人はいとも簡単に自分の肖像を手に入れることができるようになりました。
文明がもたらしてくれる便利で楽しいさまざまなツール、たとえばスマホ。今日も世界の津々浦々で老若男女和漢洋諸人こぞって「自分撮り」。ソーシャルネットワークのサイトをひらいてみれば、そこには我も我もと天の星々のように輝くたくさんの「私」がいます。
人はなぜ「私」を写すのか、などとあらためて問うまでもないことです。その人にとって最も身近で最もいとしい唯一無二の人間存在、「私」。
ギリシャ神話のナルシスならずとも、誰だって自分こそが一番大切な人なのですから。
そう考えるとプロの画家は絵がうまいからなお「いいね!」です。
だって自分で芸術作品のモデルになれるのですから。
いくら文明の利器でもそこまで夢をかなえてはくれません。
本展は笠間日動美術館の所蔵作品を中心に、画家の自画像を集め、作品と併せてご覧いただく展覧会です。
明治から現代に至るまで、61人のアーティストの自画像と作品、合計約100点を展示いたします。
鋭敏な感性と熟練の技で描かれた、かくも個性的なそれぞれの「私」。
いったいどんな人なんでしょうね。







出品作家

高橋由一 1828-1894
五姓田芳柳二世 1864-1943
藤島武二 1867-1943
満谷国四郎 1874-1936
鹿子木孟郎 1874-1941
北蓮蔵 1876-1949
山下新太郎 1881-1966
パプロ・ピカソ 1881-1973
南薫造 1883-1950
金山平三 1883-1964
辻永 1884-1974
萬鉄五郎 1885-1927
斎藤与里 1885-1959
武者小路実篤 1885-1976
田辺至 1886-1968
レオナール・フジタ 1886-1968
小出楢重 1887-1931
小寺健吉 1887-1977
マルク・シャガール 1887-1985
安井曽太郎 1888-1955
梅原龍三郎 1888-1986
熊岡美彦 1889-1944
上野山清貢 1889-1960
モイーズ・キスリング 1891-1953
木内克 1892-1977
木村荘八 1893-1958
中川一政 1893-1991
北川民次 1894-1989
林倭衛 1895-1945
林武 1896-1975
中村琢二 1897-1988
佐伯祐三 1898-1928
福沢一郎 1898-1992
朝井閑右衛門 1901-1983
田村一男 1904-1997
宮本三郎 1905-1974
森田茂 1907-2009
原精一 1908-1986
古沢岩美 1912-2000
藤本東一良 1913-1998
木村忠太 1917-1987
國領經郎 1919-1999
斎藤真一 1922-1994
宮崎進 1922-
松樹路人 1927-
平野遼 1927-1992
鴨居玲 1928-1985
岩田榮吉 1929-1982
福本章 1932-2011
島田章三 1933-
奥谷博 1934-
入江観 1935-
相笠昌義 1939-
櫻井孝美 1944-
渡邊榮一 1947-
松井ヨシアキ 1947-
堀研 1948-
河内成幸 1948-
寛本生 1951-
稲垣考二 1952-
開光市 1958-



入館料◆一般・大学生800(720) 高校生・中学生500(450)  
カッコ内は8名以上の団体料金

開館時間◆9:30-17:00(入館は16:30まで)

主催◆河口湖美術館

企画・協力◆公益財団法人日動美術財団

音楽のある風景

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