4.2-6.12
休館日=火曜日(★5/3は火曜日でも開館)
●所蔵品展
河口湖美術館の富士山コレクションのうち日本画、洋画、版画など約60点を展示。
●特集展示 ルオー【ミセレーレ】
フランス20世紀絵画の巨匠と名高いジョルジュ・ルオーは、一方で版画家としても重要な作家であり、生涯のうちいくつかの連作版画を世に送りましたが、今回は当館が所蔵する、ルオーの最大にして最高のシリーズと誉れ高い「ミセレーレ」全58点を一挙に公開します。敬虔なキリスト教徒だったルオーの宗教観、人生観を集大成させた、ルオー畢生の大作です
ジョルジュ ルオー Georges-Henri Rouault
1871.5.27-1958.2.13
コンミューン動乱のパリに生をうけた。父は家具職人、母方の祖父が熱心な版画コレクターだった。14歳でステンドグラス職人の徒弟となって修行しながら装飾美術の学校に通った。19歳の時に国立美術学校に入学し、指導にあたった象徴主義の画家ギュスターヴ・モロー(1826-1898)の寵愛を受けつつ学んだ。余談だが、師であったモローが死去し、その邸宅と作品は国家に寄附され、1903年モロー美術館となったが、ルオーはその初代館長に任命された。 30歳になった頃から道化師や娼婦などを主題にした荒々しい筆致の作風を示すようになり、やがて敬虔なカトリック信者であるがゆえの静けさへ、さらに聖なる歓喜へと高まってゆき、40歳代後半になる頃には宗教的主題、特にキリストの受難を多く描くようになった。1916年、画商ヴォラールと契約を結び、この時期版画制作に専念した。晩年に至る頃には巨匠として大きな評価をもって讃えられ、欧米各地の美術館で大規模な回顧展が行われた。1947年ベルギー王立アカデミーの会員。1953年ローマ教皇より聖グレゴリオ勲章を授勲した。パリの自宅で死去。国葬がいとなまれ、時の文部大臣ビリエールらによる追悼演説があったという。激しい筆づかいや強烈な色彩表現によってか、いわゆるフォービズムの画家に数えられることもあるが、むしろ表現主義的作風の画家の一人と考えるべきであろう。その作品は、悲惨、善悪、絶望、愛、救済などといった言葉であらわされる彼の深刻な世界観の表出であり、ルオー自身キリスト教徒だったこともあって、世間的にも20世紀最大の宗教画家として認知されている。ルオーは画家であると同時に一方で20世紀の最も重要な版画家の一人であり、生涯のうちに『悪の華』、『受難』、『流れ星のサーカス』、『ミセレーレ』など多くのシリーズ版画をてがけた。
ミセレーレ
ミセレーレMiserereとは「哀れみ給え」の意。「Miserere mei,Deus, secumdum magnam misericordiam tuamu」(神よ、汝の偉大な慈悲により、我を哀れみ給え)からとったもの。
第一次大戦という人類の惨禍のさなか、1912年に父の死に臨んだルオーはその衝撃と悲しみから、この作品を構想した。人生の醜悪な現実のなかで苦悩と悲惨の十字架を背負った人間存在の悲しみや嘆き、戦争の愚かさ、戦争のもたらす悲劇、人間の無力さへの凝視、神の慈悲への絶対帰依、魂の告白と内省など様々な内容を多重構造的に含み込む壮大な造形叙事詩。着想から刊行にいたるまで実に30年の歳月を費やした大作であり。ルオー版画の最大にして最高のシリーズといわれる。
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