1991年10月9日(水)-12月9日(月)
休館日 火曜日、10月11日(金)
写真の、美術に於ける地位が研究され、写真の発明以後たどった展開の軌跡が次第に明らかになり、記録性と共に豊かな表現の可能性の範囲が広がるにしたがって、写真の芸術に占める地位と独自性が実は極めて重要なものであると認識さ れるようになりました。
写真の歴史には幾つかの急激に発展した時期がありました。その中でも第一次世界大戦を含む1910年代から1930年代の、第二次世界大戦に至る期間のパリでは他の芸術全般と同様に注目すべき展開がありました。その頃のパリは文字どおり芸術の都で、世界中から芸術家が集いました。文学・造形芸術・音楽などと並んで写真も例外でなく、フォト・ジャーナリズムの台頭とカメラと感光材料の発達に伴なって優れた写真家達が多くパリを舞台に活躍しました。
《写真のエコール・ド・パリ》展はこの時期に焦点を当てて構成されました。エコール・ド・パリの語は、もともとフランス以外の国からパリに移り住み、自らの芸術を確立しようとした芸術家達の意味ですが、パリに住み付いた写真家達もこの仲間であったのです。彫刻や絵画のエコール・ド・パリは1929年の世界恐慌を機に衰退していきます。しかし写真家達は活躍の舞台を多岐に渉る分野に広げ、映画やファッション等の隣接するジャンルとも共存しながら独自の展開をしています。《写真のエコール・ド・パリ》の語は今の所確定した専門用語ではありませんが、1910年代から1930年代にパリを中心に活躍した写真家27名とその写真214点で構成された本展をご覧になれば写真にもエコール・ド・パリが存在したのをなっとくしていただけると思います。写真を通して、良き時代のパリの雰囲気を満喫して頂ければ幸いです。
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