EXHIBITION

富士山グランプリ展

1991年12月12日(木)-1992年1月26日(日)
休館日=火曜日、年末年始

「富士山グランプリ」の入賞作品展を開催します。
河口湖町(現在の富士河口湖町)が1989(平成元)年から1990(平成2)年にかけて「富士山グランプリ」と題して全国公募したなかから入賞作品(絵画、写真、絵葉書)計110点を展示公開します。
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(当時の新聞紙面から)
【富士の写真と絵画展示 河口湖 グランプリ入賞展開く】
河口湖町の富士山グランプリ展入賞作品展が23日から町中央公民館で始まった。地元では初めての開催で、30日まで写真と絵画合わせて110点を展示している。
富士山グランプリ展は、全国の「富士」と名の付く山を題材にした芸術作品を募集し、本家の富士山とふもとの河口湖をPRしようと始められたふるさと創生事業の一つ。昨年7月から4部門で募集を始め、今年4月末のフォト部門一般の部と絵画部門を最後に締め切られた。
絵画部門は5月24日に、フォト部門一般の部は6月9日にそれぞれ入賞者を発表した。写真部門の展覧会は一足早く東京で行われていたが、町制祭に合わせて、両部門を一度に展示することになった。初日は入賞者の表彰式も行われた。(1990年9月26日付 山梨日日新聞掲載)
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(図録より)
「発刊にあたって」
日本の中心に鎮座する日本の最高峰富士山は、日本を代表する名山として知られ、多くの人々に愛され親しまれています。
この北麓に位置する河口湖町。雄大で美しい富士山を町のどこからも眺めることができる河口湖町では、「自然と人とが調和する町」を合言葉に、まちづくりを行って参りました。そして“富士山と緑豊かな里づくり”をメインテーマとした「ふるさと創生事業」の一つとして『富士山グランプリ展』を企画いたしました。
このイベントは、本家富士山はもとより全国各地に200以上もあると言われ、地元の人々に慣れ親しまれている“ふるさとの富士”を「絵画」と「写真」で紹介していただき、交流を深めながら、本家富士を擁する河口湖町の知名度をさら に高め、地域の活性化を図ろうとするビッグな企画展であります。
この収録集は、自治省をはじめとしてご後援いただいた各省庁、報道機関、協賛いただいた各企業はもとより、北は北海道から南は九州まで公募展各部門に16,500点にも及ぶ作品を出品していただいた全国のみなさんに、心から感謝申し上げながら発刊するものであります。
ここに『富士山グランプリ展』の成功にあたり、運営の経過と入賞者の記録を作成いたしましたのでご高覧いただければ幸いです。
河口湖町長 小佐野 常夫

「お礼のごあいさつ」
『富士山グランプリ展』は、河口湖町が町民をあげて取り組んだ“むらおこしイベント”であり、かつて当町に例のない大イベントでありました。
霊峰富士を目前にし、河口湖を擁する河口湖町としては、このイベントを通して、町民一人ひとりが芸術文化の意識を高めていくとともに、地域の活性化と、美術館開館に向けたプレイベントとして位置づけられて行われました。
このイベントにより、町民が一致してまちづくりへ取り組むことの意義、ボランティア精神の醸成、更にはふるさとへの愛蔵等々、これを契機として明日の河口湖町の飛躍を大いに期するものであります。
こうした中、ひろく全国から数多くの作品が寄せられ、その作品の素晴らしさは、審査にあたっていただいた先生方からも大きな評価をいただいております。
ここに『第1回富士山グランプリ展』を終了するにあたり、本公募展に出品いただいた全国のみなさんと、実施にあたり献身的にご協力いただいた関係者のみなさんに深く感謝するとともに、今後のご協力を心からお願い申し上げ、お礼のごあいさつといたします。
富士山グランプリ展実行委員会 会長 外川 国夫

●一般の部/絵画部門
審査員 片岡球子先生 (日本画家)
バラエティに富んでる作品が多かったですね。 自分の考えで富士山を紹介して描いていること、造形力がかなりあること、真面目に勉強していること。みごたえがありました。

審査員 佐藤忠良先生(彫刻家)
いい絵は、高い詩情を持っていることと、構成がしっかりしていること。それらをモノサシに審査しました。

審査員 萩原英雄先生(版画家)
ただ富士山を写生したものではなく、富士を、自分のものとして咀嚼した形の作品だけが栄光に輝きましたね。目に映ったままの美しさを描いただけのものでは、本当の精神が描けないことがこのコンテストを通してわかりました。

審査員 米倉守先生 (美術評論家)
グランプリ賞の作品は、作者が毎日見ている富士山を自分に抱え込んだ表現が良くでています。金賞から銅賞の作品は、郷里の富士をそのまま伝えるリポート的なものでなく、完全に自分のものに解釈して表現しています。

審査員 足立朗先生(河口湖美術館館長)

●一般の部/フォト部門
審査員 白簇史朗先生(山岳写真家)
フォト部門の応募は3,000点を超え、質も平均値を上まわるもので、当然、入選作品は一頭地をぬくものとなりました。いかに皆さんが真剣に取り組んだかがわかり、その真剣さがすぐれた作品を生んだ原動力になったのだと思います。各作品の格差は紙一重。落とすのに忍びない作品が多かった。私たちの山 富士山を表現することは、私たち自身を表現することです。2年後の第2回富士山グランプリに向かい、共に出発しましょう。

審査員 中村璋先生 (日本観光写真連盟会員)

●絵画はがき部門 小・中学生の部絵画はがき部門
審査員 水森亜土先生 (漫画家)
私は富士山が大好き。でも、富士山くらい描くのに難しい山はないと思います。しかし、こどもたちの作品は、おとなには思いもつかない自由な発想で、色も構図も奇抜で、おもしろい作品がたくさんありました。一般の部も様々な手法で、本物の富士山はもとより全国の“ふるさとの富士” を描いたすばらしい作品ばかり。ただただ感嘆!富士山に寄せる作者の思い が伝わってきました。そして、ハガキ1枚にこんなにも表現できるものかと感心しました。

●小・中学生の部/フォト部門
審査員 浅井慎平先生(写真家)
応募者が中学生小学生ですから、わりと無邪気に作品に取り組んでおり、見せていただいて楽しかった。 富士山というのは対象にするには 余りにも有名で美しくて、それだけに自分の物にするのは非常に難しい。当然の事かもしれないけども、対象に負けているという感じもしました。これをきっかけに子どもたちに写真を撮ることの楽しみを覚えて欲しいですね。

展覧会基本情報

Exihibition Information

会期
1991年12月12日(木)-1992年1月26日(日)
休館日=火曜日、年末年始
会場
河口湖美術館
開館時間
9:30-17:00(入館は16:30まで)
主催
河口湖町

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SINCE1991.04.14