1992年4月15日(水)-6月14日(日)
休館日 火曜日、5月6日(水)
ジョルジュ・ルオーの作品は、油彩にしても版画にしても、全てルオーの敬虔な宗教心に裏付けされています。それらの中から最大の傑作と云われる作品の一つ、「ミセレーレ」(58点モノクローム)と、それに並ぶものと云われる「流れる星のサーカス」(17点・カラー)を中心に、ルオーの版画と油彩を併せて展示します。珠玉の二編については今更多言を要しませんが、共通している点は、ルオーが世の中の諸悪を憎み、心ならずも虐げられている庶民に深い同情の念を捧げていることです。弱者の味方として権力を憎み、戦争を憎み、力を持たない人々の苦痛を、自分の物として画面に表し、諸悪を正面から告発し続けた所にルオーの本領があります。またルオーの作品は色彩が非常に複雑で深い色が用いられています。この様な色彩がどの様に調合され重ねられて完成されて行くかの過程を「サーカス」の例を通じて見ていただけます。これはいわばルオーの着彩 指示書とも云うべき作品なのです。ルオーの画面には娼婦、サーカスの芸人、裁判官などが登場します。これらの人々の姿を借りてその裏に潜む真の巨悪の姿を暴きだそうとしているのです。この展覧会からは、芯からのキリスト者である作者の飾らない本心を汲み取る事が出来ます。
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