1995年 11/3(金)-12/17(日)
休館日 火曜日,11/24(金)
愛媛県出身の画家古茂田守介(こもだもりすけ 1918-1960)は、画家を目指す兄のはからいで猪熊弦一郎、脇田和の指導を受ける機会を得てデッサンに励み、22歳で新制作派協会展に初入選をはたして以後、新制作派協会展をはじめ美術団体連合展(毎日新聞社)、秀作美術展(朝日新聞社)、日本アンデパンダン展(読売新聞社)などに出品、具象画家として旺盛な作家活動を展開しました。しかし体の弱かった古茂田守介の生涯は短く、1960年、生来の喘息のために42歳の若さで世を去ります。加えてあいにくだったのは、死の2年後、アトリエが火災で焼け、大作のほとんどが焼失してしまったために、画業を回顧するにもその全体を網羅できなくなったことでした。ところが作家の没後30年経って古茂田守介の"焼失”したとされていた油彩作品24点が、実は遺族によって火災の損傷を受けたままの状態で保管されており、全部の作品について修復が可能であること、しかもそれらが古茂田守介の代表作ともいうべき重要な作品群であることが判明しました。1994年より、創形美術学校修復研究所、山領絵画修復工房、岡崎絵画修復工房の3者は、依頼によりこれらの作品群を 共同で調査・研究、3年を掛けて修復作業を行いました。本展はその修復された作品群を中心とした、油彩画、素描など90点によって古茂田守介の初期から晩年にいたる画業の全貌を展観し、併せて油彩画修復の模様をビデオ、写真パネルなどによって紹介いたします。一人の具象画家の造形的探求の軌跡を辿るとともに、今日の高度な修復技術の一端を知るうえでまたとない機会となることでしょう。
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