1996年1月1日(月)-2月18日(日)
休館日 火曜日(1/2開館),1/8~1/12
智内兄介は、1948年愛媛県波方町に生まれました。東京芸術大学在学中にはシェル美術賞展で佳作賞を受賞するなど早くから活躍しています。内外の展覧会、有力コンクールで受賞を重ね、第30回安井賞展で人気投票による特別賞、第33回安井賞展で佳作賞を受賞するなど、現代画壇の実力派の一人として高く評価されています。また、1992年3月から1993年4月にかけて、毎日新聞朝刊連載小説「藏」(宮尾登美子作)の挿絵を担当し、大人気を博しました。
智内は1980年代初頭から娘の久美子さんをモデルに、和紙にアクリル絵具という特異な描法で童女シリーズを描き続けています。日本画の伝統的様式美と洋画の技法が巧みに混合された画面は、見る者を智内の耽美・幽玄な美の世界へと引き込みます。
本展は1980年代以降の代表作と「藏」の挿絵原画を加えた110点の作品で智内芸術を余すところなく紹介いたします。
絵はどれも、幼児から少女期へ移ろうとする女の子を描いており、画面からは涙のしたたるような、或いは汗の飛び散るような、生々しい感情が噴き上がっている。悶え、苦しみ、よろこび、また悲しむ女の子の心のなかが、見るものの胸に電流のように伝わってくる。この画家はきっと、内面に大きな活火山を抱いており、それを女の子に仮託して、見る人に訴えたいのだと私は思った。
宮尾登美子
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