1996年 4/3(水)-5/12(日)
休館日 4/9,4/16,4/23,5/7
柘植(つげ)などのように、成長が遅く組織がつまった堅木の木口面を、ビュランという特殊な彫刻刀で刻んで版を作る「木口木版」(こぐちもくはん)は、様々ある版画技法の中でも、もっとも精緻な技術が要求されるもののひとつといわれます。この木口木版は18世紀末にイギリスで開拓され、稠密、繊細な表現に適することから、印刷物や書籍を飾る挿絵などの実用的な分野で発展しました。しかし印刷術に写真製版が導入されると、木口木版はこれに代わられて衰退し、時代遅れなものとして忘れ去られてゆきました。
20世紀初頭のイギリスで、一部の作家達が木口木版のもつ独特な表現に注目し、この技法を再興しました。
木口木版の、概して小さく、必ずしも華やかとはいえないが、白と黒で精細にあらわされた世界は、まるでそれがひとつの小宇宙とでも いうような、神秘的な魅力をはなっています。
本展は、ブリティッシュ・カウンシルの所蔵する31作家の作品約60点と、これに併せて、イギリス美術の系統的なコレクションで知ら れる郡山市立美術館の所蔵品からの約50点を展示し、今世紀初頭に興ったイギリス木版画の多様な展開を紹介いたします。
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