EXHIBITION

知られざるヘルマン・ヘッセの世界 水彩画展

1996年5月15日(水)-6月17日(月)
休館日 火曜日

ドイツ出身(後にスイス国籍)のノーベル賞作家ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)は、例え ば小説「車輪の下』、『デーミアン』、『シッダールタ』などにより広く各国でその名を知られています。日本においても、早くは明治末から大正期にかけての文芸雑誌『スバル』がヘッセを紹介して以来、深い思索に裏打ちされた瑞々しい作品が、今日に至っても多くの人々に親しまれ続けています。ところが、そのヘッセが文筆活動以外に、絵を描くことを好み、生涯に約3,000点にのぼる水彩画を遺していたことはあまり知られていません。ヘッ セが水彩画を始めたのは40歳代になってからのことですが、きっかけは、ちょうど第1次世界大戦頃、ヘッセが、反戦的発言のために故国ドイツで孤立したことや、仕事の疲れ、家庭内の不幸などによって、社会的にも個人的にも苦境に直面し、精神的な危機に陥っていた時期に、水彩画制作に安らぎや慰めを見いだしたことによるといわれます。ヘッセは、自分の生活圏―彼が第二の故郷と居を定めたテッシン州モンタニョーラ近辺の家々や山並の風景を即興的に表現した作品を繰り返し描いていますが、技術的には独学者の域にとどまるものとはいえ、それらの作品は、自然と対話するヘッセの真摯な心、詩人の魂の痕跡を辿るような感興を起こさせます。ヘッセの水彩画は単なる嗜みではない、彼の文筆と源を同じくして生み出されたものと考えてよく、文学者ヘッセを考察するうえでも興味深い資料といえましょう。本展はヘッセの次男、ハイナー・ヘッセ氏の所蔵する、水彩画約80点のほか、初版本、愛用していた品々、賞牌、写真資料などにより、20世紀文学の巨匠ヘルマン・ヘッセの知られざる一面を紹介するものです。

展覧会基本情報

Exihibition Information

会期
1996年5月15日(水)-6月17日(月)
休館日 火曜日
会場
河口湖美術館
開館時間
9:30-17:00(入館は16:30まで)
入館料
一般800(640) 大高生500(400) 中小生300(240) ( )内は20名以上の団体料金
主催
河口湖美術館/ 每日新聞
協賛
大成建設株式会社
後援
外務省/文化庁/ドイツ連邦共和国大使館/スイス大使館

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SINCE1991.04.14