1997 12/6-1998 1/5
休館日=12/9、16、24、29、30、31
市民革命の流血、資本主義の発達に伴う産業構造のかつてない変化、交通機関の飛躍的な進歩、今日見られる都市の誕生など、19世紀のヨーロッパは、中世的な封建社会が終わり、近代の市民社会へむかおうとする際の数々の激動にみまわれた社会でした。オノレ・ドーミエ(1808-1879)は、一人の市民として19世紀のパリに生き、また、画家として、当時新しく興ったジャーナリズムの世界を舞台に、時の権力者や、欲に走る亡者たちが繰り広げる様々な悪徳や愚行を、風刺の筆をもって告発し続けたのでした。ドーミエの筆法は鋭く辛辣で、その仮借なさのあまり、ある時などは筆禍の咎で罰金投獄の刑を受けるほどでした。また、その一方でドーミエは民衆の生活を人間味あふれる視線でとらえた風俗画を数多く残しました。生前は世俗的な成功とは無縁だったドーミエですが、その類希な描写の手腕は、写実主義絵画の先駆として高く評価されています。
本展は、伊丹市立美術館が所蔵する作品を中心に構成し、リトグラフ約200点のほか、油彩画、素描、彫刻など合計約250点を展示いたします。
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