2003 4/5-6/15
休館日=火曜日(ただし4/29は開館)
19世紀後半から20世紀初頭の、「幕末」や「明治」という括りで言いあらわされる時代の日本が、それまでの幕藩体制や鎖国政策によって成り立っていた封建的社会から脱皮して、国際社会の一員としての国家へと変革せんがために様々に 努力したことを、私たちは歴史上の出来事として学びました。国や社会の基本をなす、政治や行政の制度から自然科学、産業の分野、あるいは思想や文芸といった人文科学の分野にいたるまで、幕末明治期の日本が西欧の国々を手本に学び摂取したことごとは、歴史の連なりの中で、のちの日本の礎(いしずえ)の重要な部分となって現在の私たちにつながっているといえましょう。
絵画の領域において、当時の日本には無かった近代的写実表現や油彩画技法を西欧の絵画に倣って会得しようと、大勢の画家が積み重ねた模索の跡を、私たちは例えば代表的なものとして高橋由一や五姓田義松らの遺した作品によって知ることが出来ます。
ここに、永く幻のコレクションといわれ、その全貌が明らかにされることのなかった「山岡コレクション」を展覧いたします。山岡孫吉(1888-1962)は若くして動力機械製造の事業を興して研究開発につとめ、世界ではじめてディーゼルエンジンの小型・実用化に成功した人物ですが、一方で山岡は文化や美術に高い関心をいだき、日本の初期洋画を数多く所有していました。そのコレクションは、日本の洋画史上欠かすことのできない重要な画家のものや、いまや忘却されつつある当時の画家のものを含んでおり、「洋画」と呼ばれる日本の絵画がどのように発達してきたのか、その歩みをたどるうえできわめて貴重な資料群であります。
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